基礎断熱の話になると、施主さまの反応はだいたい二つに分かれます。
ひとつは「床が暖かくなるなら良さそうですね」という前向きな方。
もうひとつは「そもそも床断熱と何が違うんですか?」という素朴な疑問を持つ方。
そんな時、私はよく図を見せながら説明します。

基礎断熱は、建物の「足元」そのものを断熱層で包み、床下空間ごと室内扱いにしてしまう考え方です。
床断熱と比べて“家の一体感”が出やすく、床下エアコンなどの設備との相性も抜群。
ただし、施工精度が甘いと結露やシロアリのリスクが一気に増すという、少し緊張感のある仕様でもあります。
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そんなに良し悪しが分かれるんですか?
そうなんです。
だからこそ最初の判断が大事なんです。
匿名の設計士
基礎断熱が向いているかどうか、家の形状だけで判断するのは難しいもの。
迷ったら、第三者の専門家に一度状況を見てもらうのも良い選択です。
→ 家づくりの不安を解決!住宅購入相談サービスで安心サポート【家づくり相談所】は中立的な立場からのアドバイスが得られるので、判断に迷う人には心強い存在です。
参考:国土交通省「住宅の省エネ基準(断熱)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/green-housing.html
■ 基礎断熱で最も大切なのは「一体打ち」
基礎断熱を採用するなら、まず最初に押さえたいのが、
基礎コンクリートとの“密着”をどう確保するか という点です。
ここで重要になるのが「一体打ち」。
立ち上がり部分のコンクリートの打設時点に断熱材を入れておくことで、基礎と断熱材を密着させやすくなります。

逆に、断熱材が後貼りになると、その境目にわずかな隙間が生まれ、
そこが「結露の温床」や「シロアリの侵入ルート」になってしまうことも。

■ 床下エアコン・床下給気の家は、ほぼ“基礎断熱一択”
最近増えている床下エアコンや、床下から給気を行う24時間換気システム。
これらを採用するなら、基礎断熱はほぼ必須になります。
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床下を空調ゾーンとして使うから、断熱で包む必要があるんですね。
その通りです。
床下=室内扱いにするのが基礎断熱の役目です。
匿名の設計士
床下をどう活用するかによって、断熱仕様はまったく変わります。
ゆえに、ここでも外部の専門家のセカンドオピニオンが役立つことが多いです。
→ 迷ったら 【家づくり相談所】のような第三者相談を利用する方も増えています。
■ シロアリ対策の要:45°カットの基礎断熱
基礎断熱の弱点のひとつが「シロアリ被害に気づきにくい」こと。
そこで最近の実務で重視されるのが、
内張りの基礎断熱であっても、基礎立ち上がり部の断熱材を“下部45°カット”にする方法。

この処理をすることで、基礎の打ち継ぎ面(最もシロアリが侵入しやすい部分)が床下から目視できるようになり、「入り口を監視できる」状態が確保されます。
基礎のスラブと立ち上がりを一体打ちにする施工店であれば不要の対策となりますが
やむ負えず2度打ちとなる場合には、取り入れるべき対策となるでしょう。
参考:しろあり対策の基礎知識(公益社団法人 日本しろあり対策協会)
https://www.hakutaikyo.or.jp/shiroari/
■ 基礎断熱の外張りはやめた方がいい理由
基礎断熱というと「外側に断熱材を貼る方式が良いんじゃないの?」と聞かれることがよくあります。
一見、基礎全体を外側から包み込むほうが断熱効率が良さそうに思えるのですが、実は木造住宅では“外張り基礎断熱はおすすめしません”。
理由はシンプルで、
- シロアリ被害に気づけない
- 基礎と断熱材の密着が弱く、剥離しやすい
- 外気に触れる分、劣化が早い
- 雨水を吸った断熱材が乾きにくい
という“構造的な弱点”を抱えているためです。
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外側に貼ったほうが断熱効率が良さそうですけどね?
そうなんです。
ただ、リスクの方が上回るので、木造では外張り基礎断熱は避けたほうが無難なんです。
匿名の設計士
特にシロアリに関しては、外張り断熱材がちょうど「隠れ家」になり、食害が進んでも外部からも内部からも見えないという最悪の条件が揃います。
発見した時には、基礎を超えて土台や柱まで被害が及んでいるケースも少なくありません。
そのため現在の実務では、
基礎断熱=内側断熱を基本形として考える
ことが主流になっています。
■ 最後に:基礎断熱は「見えない場所こそ慎重に」
基礎断熱は、住み心地を大きく左右する重要な部分。
しかし一方で、完成後は見えなくなってしまうため、
「何が正しいか」
「誰の意見を参考にすべきか」
が分かりにくい領域でもあります。
迷ったら、信頼できる第三者の意見も取り入れてみてください。
→ 【家づくり相談所】は家づくり初心者の方でも相談しやすく、判断に迷うポイントを丁寧に整理してくれます。
また、断熱材そのものの特徴や、家全体の断熱設計については、
過去記事もあわせて参考になるはずです。
👉 断熱材の選び方完全ガイド|失敗しない断熱リフォームと断熱等級6・7対応【2025年版】
https://sumai-knowledge.com/dannetsu-renovation/insulation-choice-guide/


