断熱リフォームの現場を見ていて、いつも思うことがあります。
「断熱材をどれだけ良くしても、ここ(気流止め)を直さなければ意味がない」ということです。
実際、相談に来られる方の多くが口をそろえて言います。
せっかく断熱材を入れ替えたのに、床が冷たいんです。
おそらくですが、断熱材より“気流止め”が問題ですね。
こうしたケースは本当に多く、体感としては9割近くがこれに該当します。
■ 気流止めの役割は“断熱材が本来の性能を出せる環境をつくること”
気流止めとは、外から侵入する冷気や湿気が 壁の中・床下に流れ込むのを防ぐ施工 のことです。
もし気流止めが適切に施工されていなければ…
- 壁の中で空気が動き続ける
- 冷気が床下から室内側へ侵入する
- 断熱材が通気に晒され、性能が半減する
- 壁内結露のリスクが大幅に上がる
こうした問題が同時に起こります。
つまり、断熱材を高性能にしても、気流止めが欠けていれば効果はほぼ無いに等しいのです。
気流止めの状態は、住んでいる人では判断できない部分です。
「うちも同じ状況かもしれない…」と思ったら、まずは専門家の診断を受けるのが確実です。
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■ 現在主流の「剛床工法」は、耐震+気流止めを兼ねている

最近の木造住宅は、ほとんどが “剛床工法” を採用しています。
これは、24mm以上の厚い構造用合板を梁や土台の上に直接貼る床のつくり方です。
もともとの目的は耐震性の向上。
しかし、もう一つの副次的な役割として、
外壁まわりの気流止めとして機能する
というメリットがあります。
構造用合板が1枚の大きなフタとなり、床下の空気が壁の内部に回り込まない構造になっているのです。
剛床って、断熱にも関係していたんですね。
実は、耐震と断熱の“両方”を底上げしています。
■ 問題なのは「剛床以前の住宅」——根太組みは空気が動きやすい

一方で、2000年代以前の住宅は “根太組み(ねだぐみ)” の床が大半。
この工法では、床材の下にスペースが多く残るため、
- 壁の中
- 床下
- 階間(1階と2階の間)
これらが空気の流れでつながってしまっている家が非常に多い。
結果として、
外の冷気 → 外壁の隙間 → 壁内部 → 根太床の下 → 室内側へ
という、家じゅうを冷やす“冷気のルート”ができてしまいます。
断熱材を増やしても寒い理由、これなんですね…。
はい。断熱より先に“気流止め”を整える必要があります。
木造住宅の床構造については、一般社団法人 木を活かす建築推進協議会の技術情報も参考になります。
■ 気流止めが欠けている家で起きる3つの問題
断熱材の性能低下
断熱材は“無風状態”で初めて性能を発揮します。
風が通ると、性能は50〜70%まで落ちることも。
壁内結露
湿った暖気が壁内へ侵入し、冬に冷やされると結露に。
カビ、腐朽、断熱材の劣化の原因になります。
壁内部の結露リスクは、国土交通省の資料でも注意喚起されています。
参考:
・国交省「住宅の省エネルギー基準に関する技術情報」
床の底冷え
床断熱の家で床が冷たい原因の大半は、断熱材の種類ではなく 気流止めの欠如 です。
■ 気流止めの施工ポイントは「上下と外周のディテール」
特に重要なのは以下の部分です。
●外壁最下部(床と壁の取り合い)
ここを塞がないと、床下から冷気が入りたい放題になります。
●外壁最上部(天井と壁の取り合い)
小屋裏に冷気が抜けると断熱性能が一気に低下。
●間仕切り壁の取り合い
意外と見落とされがちで、家の中の壁内部を冷気が横移動する原因になります。

気流止めの改善は、断熱材の交換より“費用対効果が高い”ケースがほとんどです。
どこを直せば良いか分からないときは、第三者のプロに一度相談してみると、無駄な工事を避けられます。
家づくり相談所の無料相談 は、押し売りがないので安心です。
■ まとめ:高断熱化の前に、まず「気流止め」を整えるべき
「高性能グラスウール」「高断熱ウレタン」「トリプルガラス」
どれも有効ですが、その前提として
“空気の流れ”をコントロールできているか?
これがすべての基礎になります。
特に、
- 2000年以前の根太組みの家
- 床が冷たい
- 冬の光熱費が高い
- 壁の中がスースーしている
- 断熱リフォームしても効果を感じにくい
こうした状態の家は、断熱材より前に、気流止めの改善 が最優先です。
断熱材を変える前に、まず気流止めを診てもらうべきなんですね。
そうです。
ここを整えるだけで、体感温度は大きく変わります。
気流止めは、断熱材よりも費用がかからず、
しかも暖かさの実感が大きい“費用対効果の高い改善”です。
もし今、
「暖房をつけても足元が寒い」
「断熱材を入れたのに効果が薄い」
そんな状態なら、プロが現地を見るだけで原因がすぐ特定できることも。
断熱で損しないために、まずはあなたの家がどれだけ暖かくなる余地があるのか、
気軽に相談してみてください。
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高断熱化を検討している場合は、断熱材比較や性能基準も確認しておくと理解が深まります。
→ 断熱材の選び方完全ガイド|断熱等級6・7対応【2025年版】


