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除湿機と断熱の関係|断熱リフォーム後の湿度が上がる理由と正しい湿度管理のやり方

断熱リフォームをすると、多くの方が「冬の湿度」に初めて向き合うようになります。
というのも、断熱と気密、そして防湿性能が上がると、室内の水蒸気が外へ逃げにくくなるからです。

断熱したら結露がなくなると思ってたのに、冬の室内が妙にジメッとするんですが…。

最近では、こんな相談をいただくことが増えてきました。

設計士としての結論を先に言えば──
断熱性能・防湿性能が高くなると、冬は湿度が“上がる”のが正しい状態です。


■ なぜ断熱後は湿度が高くなるのか?

少し専門的な話をすると、室内の湿度は“防湿層”の有無で大きく変わります。

● 断熱+防湿が整った家

  • 室内側の防湿層が水蒸気の移動を止める
  • 断熱材が外気との温度差を抑える
  • 暖かい空気が保たれ、湿度も自然と保たれやすい

結果、冬は湿度が高めに安定する

● 断熱が弱く、防湿されていない家(昔の家)

  • 壁の中や屋外へ、熱も水蒸気もどんどん逃げる
  • 室内の乾燥が進み、湿度は低くなる
  • ある意味「乾燥して当然」の状態

断熱リフォーム前に“乾燥気味”だったのは、このため

ここが誤解されやすいポイントですが、
湿度が高くなるのは、断熱・防湿が正しく機能している証拠でもあるのです。

断熱と防湿がある家と、昔の断熱の弱い家の湿度の違いを比較した図

断熱リフォーム後の湿度変化に不安を感じる方は、プロに一度整理してもらうだけで迷いが一気に消えます。
例えば、住まいの性能や改善ポイントを中立的に教えてくれる
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断熱・気密・防湿の基礎をもっと体系的に知りたい方は、こちらの記事が分かりやすく整理されています。
👉 断熱・気密・防湿の基礎をまとめた過去記事はこちら


■ 冬は屋外のほうが“水蒸気量が少ない”という事実

冬の外気は水蒸気量が少なく、室内のほうが水蒸気を多く含む様子を示した図

「雨の日なのに、外より室内の方が湿度が高い」という現象に驚かれる方もいます。

これは、単純な“相対湿度”の話ではありません。
冬の外気は気温が低いため、含める水蒸気量そのものがとても少ないのです。

つまり──

  • 冬季は、外が湿って見えても水蒸気量は少ない
  • 室内の暖かい空気の方が、はるかに多くの水蒸気を抱えられる
  • 防湿が弱い家では、室内の水蒸気が外へ絶えず逃げていく

こうした理由で、
断熱・防湿がない家ほど“乾燥しやすい”のです。
(昔の家が乾燥するのは、加湿がいらないほど“性能が低い”だけ)

冬の外気が“乾燥している理由”については、気象庁の「相対湿度と気温の関係」も参考になります。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo/kaisetsu_shitsudo.html


■ しかし“湿度50%を超える”と不快が増える

理想は 40〜50%前後
ところが断熱リフォーム後では、55〜65%に達する家も。

これは防湿層がしっかり機能しているがゆえで、
生活で生まれる水蒸気が室内に残りやすくなるためです。

湿度が高いと…

  • 窓の結露
  • カビ
  • 体感温度の低下
  • ジメつき

などの不快感が現れます。


■ “除湿器が欲しくなる家”が生まれる理由

断熱改修前:
→ 熱も湿気も外へ逃げ放題。湿度が勝手に下がる。

断熱改修後:
→ 熱も水蒸気も逃げない。湿度が上がりやすい。

そのため、
暖かく快適になったのに、湿度が高く不快になる家
という状況が生まれます。

冬の室内で除湿器を静かに運転させている様子

■ ただし、理想は「24時間換気で湿度を抜く」こと

24時間換気が冬の自然な除湿として働く概念図

私としては、冬に除湿器は“最終手段”だと思っています。

外気は冬、とても乾いています。
だからこそ、
24時間換気は“自然な除湿器”のように働くのです。

  • 電気代が安い
  • 家全体を均等に除湿できる
  • 結露も減りやすい

除湿器は、
「換気しても湿度が下がらない時だけ併用」
というスタンスが最も賢い使い方です。

匿名の設計士
匿名の設計士

断熱・防湿・換気のバランスは、住宅ごとに適正解が違います。
もし「うちの家はどう調整すべき?」と迷う場合は、専門家へ一度相談するのも手です。
家づくりの不安を解決!住宅購入相談サービスで安心サポート【家づくり相談所】

24時間換気の役割については、国土交通省の資料が分かりやすいです。
https://www.mlit.go.jp/common/001516291.pdf


■ 理想は「断熱+気密+防湿+計画換気」

この4つがセットで整ったとき、
冬の湿度は一気に安定します。

特に
“防湿層が正しく施工されているか”
が湿度コントロールでは非常に重要。

逆に、防湿が甘く断熱だけ強化した家では、

  • 冬は室内が湿りすぎる
  • 壁内に湿気が侵入して壁内結露する
    という問題が起きることもあります。

■ どうしても湿度が高いときの対処ステップ

24時間換気の運転確認
給気口の開閉確認(閉じている家が多い)
それでも55%以上なら除湿器を併用

特に

  • 家族人数が多い
  • 部屋干しが多い
  • 窓断熱が弱い
    家は湿度が高くなりやすく、除湿器の併用は現実的です。

■ まとめ:冬の湿度を理解すると、断熱リフォームはもっと快適になる

冬季に湿度が上がるのは、
断熱・防湿がきちんと機能している証拠でもあります。

ただし、湿度50%を超えて不快さが出るようなら、
まずは24時間換気で調整する。
除湿器はその次。

湿度の仕組みを理解しておくと、
断熱リフォーム後の暮らしは格段に快適になります。

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