断熱材って、結局どれくらいの厚みが必要なんですか?
最近、お客様からこう聞かれることが本当に増えました。
正直に言うと──
断熱材の“厚み”だけを聞かれても、本当の答えは出せません。
なぜなら、
地域区分・断熱等級・使う断熱材の種類・性能(熱伝導率λ値)
ここがすべてセットで決まるからです。
でも、家づくりを考えている方にとって、
「結局どれくらい必要なの?」が分からないと比較すらできませんよね。
そこでこの記事では、
断熱等級4・5・6・7ごとの「必要な断熱材厚み」を一気に整理
しました。
途中で少し専門的になりますが、なるべく噛み砕いて説明しています。
「設計士のメモ」だと思って気楽に読んでください。
■ まず前提:断熱材は“種類によって厚みが全然違う”
たとえば同じ性能を満たす場合でも、
- グラスウール
- 高性能グラスウール
- 硬質ウレタンフォーム(吹付け)
- XPS / EPS
- フェノールフォーム
- 木繊維断熱材
- セルロースファイバー(吹込み)
これらは「熱の伝えやすさ(λ値)」が違うので、必要厚みが変わります。
断熱材は“分厚いほど良い”ではなく、
性能 × 厚みの掛け算 で決まる、というのがポイントです。
■ 地域区分別|断熱等級4〜7で必要な厚みの目安(壁)

※代表的な熱伝導率の断熱材を例示
※あくまで参考値(実際は窓性能・日射・方位などで調整)
● 地域1〜2(北海道など)
| 等級 | グラスウール16K | 高性能GW14K | XPS3種b | フェノールフォーム1種2号 |
|---|---|---|---|---|
| 4 | 120〜140mm | 105〜120mm | 80〜95mm | 60〜70mm |
| 5 | 160〜180mm | 140〜160mm | 105〜120mm | 75〜90mm |
| 6 | 200〜240mm | 180〜200mm | 140〜160mm | 100〜110mm |
| 7 | 260〜300mm | 220〜260mm | 180〜200mm | 120〜140mm |
● 地域3〜4(東北・北関東・北陸など)
| 等級 | グラスウール16K | 高性能GW14K | XPS3種b | フェノールフォーム |
|---|---|---|---|---|
| 4 | 90〜105mm | 75〜90mm | 60〜70mm | 40〜50mm |
| 5 | 120〜140mm | 105〜120mm | 80〜95mm | 60〜70mm |
| 6 | 160〜180mm | 140〜160mm | 105〜120mm | 75〜90mm |
| 7 | 200〜220mm | 180〜200mm | 140〜160mm | 100〜110mm |
● 地域5〜6(関西・東海・関東の一部)
| 等級 | グラスウール16K | 高性能GW14K | XPS3種b | フェノールフォーム |
|---|---|---|---|---|
| 4 | 75〜90mm | 65〜75mm | 50〜60mm | 30〜40mm |
| 5 | 105〜120mm | 90〜105mm | 70〜80mm | 45〜50mm |
| 6 | 140〜160mm | 120〜140mm | 95〜105mm | 60〜70mm |
| 7 | 180〜200mm | 160〜180mm | 120〜140mm | 75〜90mm |
● 地域7〜8(九州・沖縄・温暖地)
| 等級 | グラスウール16K | 高性能GW14K | XPS3種b | フェノールフォーム |
|---|---|---|---|---|
| 4 | 50〜65mm | 45〜55mm | 35〜45mm | 25〜30mm |
| 5 | 75〜90mm | 65〜75mm | 50〜60mm | 30〜40mm |
| 6 | 105〜120mm | 90〜105mm | 70〜80mm | 45〜50mm |
| 7 | 140〜160mm | 120〜140mm | 95〜105mm | 60〜70mm |
■ 読者が迷うポイント:厚みだけ見ても“正解”にはならない理由
ここ、本当に誤解してほしくないのですが…
❌ 厚い=良い
❌ 等級クリア=暖かい
これ、どちらも半分正解で半分まちがいです。
断熱材の厚みは重要ですが、
窓性能・防湿層・気密・換気計画
これらが揃って初めて “性能どおりに働く” からです。
👉 関連:
断熱材の選び方 完全ガイド|断熱等級6・7対応【2025年版】
「断熱材選びは厚みと性能のセット」と一度整理しておくと失敗しにくくなります。
■ よくある誤解
等級6なら“暖かい家”ってことですよね?
条件が揃っていれば、ですね。
断熱材だけでは決まりません。
性能は“家のチーム力”みたいなものです。
一人だけ強くても勝てません。
■ 厚みを優先しないこと
壁200mmってすごく良さそう…!
もちろん良いですが、窓性能が弱いと“そこ”から熱が逃げます。
“厚みだけ勝負”は実はあまりおすすめしません。
あくまで“総合力”で勝負するべき。
それに、厚みを持たせる場合には、壁体内結露についての検討も必要です。
→参考:過去記事「断熱材の湿気・結露対策|木造住宅を長持ちさせる核心」
■ 参考外部リンク
- 断熱等級の基準(国交省資料)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/ondanka/index.html - 地域区分・外皮計算(LIXIL 総合技術資料)
https://www.lixil.co.jp/support/howto/house/energy/
この2つは初心者でも理解しやすく、信頼性も高いです。
■ 断熱の厚み相談は、最終的にはプロに任せるのが一番確実
断熱材の厚みは「地域」「窓」「外皮性能」「予算」「暮らし方」で変わります。
ネットの早見表だけで判断するのは正直むずかしいです。
そんなときは、
中立の立場で相談できる第三者のサービス を使うと失敗しません。
👉
家づくりの不安を解決!住宅購入相談サービスで安心サポート【家づくり相談所】
「厚みは十分?」
「どの断熱材を選べばいい?」
迷っている人には、とても役立つサービスです。
■ 最終的な判断
うちは等級6目指したいんですが、どこから考えれば?
まず“窓”。次に“断熱材の種類”。厚みはその後です。
順番を間違えると、同じ予算でも性能は大きく変わります。
■ まとめ|厚みは“性能×地域×家全体のバランス”で決まる
- 厚みだけでは判断できない
- 断熱材の種類で必要厚みは大きく変わる
- 等級は“家全体”で決まる
- 木繊維・セルロースは厚みが必要
- 最終判断はプロに丸投げでもOK(間違いが減る)
断熱を考えるなら、ぜひハブ記事もセットで読んでください。
「どの断熱材を選べば後悔しないのか」「等級6と7の差は?」「予算はいくら必要?」
こうした疑問は、家づくりの段階では“ほぼ全員”が抱きます。
断熱は、一度失敗すると取り返しがつきません。
迷ったときほど、プロの“第三者”に聞くのがもっとも確実です。
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「いまの選択で合っているのか?」に自信が持てるようになります。


