■ 木造住宅の耐震診断とは?目的と基礎知識
うちの築40年の家、やっぱり危ないのかな……?
先日、そう相談してきたお客様がいました。
大丈夫かどうかを“勘”で判断するのは危険で、そこで役に立つのが 耐震診断 です。
耐震診断では、その家が 大地震で倒壊しやすいかどうか を数値で評価します。
1981年の「新耐震基準」を境に安全性が大きく変わるため、築年数は重要なポイントです。

■ 耐震診断の費用相場はいくら?【2025年版】
耐震診断には大きく3段階あります。
- 一般診断:5〜10万円
- 精密診断(1次):10〜20万円
- 精密診断(2次):20〜40万円
え、高くない?
とお客様に言われることがよくあります。
でも図面がない場合は、一から寸法をとり直す必要があり、
床下・天井裏の状態によっては人が入って確認するため、どうしても手間がかかるのです。
また、自治体によっては 無料または数千円で受けられる補助制度 があり、
愛知県・静岡県は比較的手厚い自治体が多いので、まず調べてみる価値があります。
→ 「地方公共団体における木造住宅耐震診断の補助制度一覧(国土交通省)」
■ 耐震診断の流れ|現地調査から結果報告まで
●事前ヒアリング
- 築年数
- 図面の有無
- 過去のリフォーム履歴
図面はどこかにあると思うんだけど…。
こういうケースが多いのですが、図面の有無で診断精度は大きく変わります。
●現地調査(1〜3時間)
現地調査では、私たちはこんなところを見ています。
- 壁の量
- 壁の「配置バランス」
- 白蟻・腐朽・雨漏りなどの劣化
- 基礎のひび割れ
- 増築部の接合状況
そんなところまで見るんですね!
と驚かれることが多いですが、
倒壊しやすい家は“目に見えない部分”に弱点が潜んでいます。

●診断ソフトで構造評価
耐震診断ソフトを使い、
0.7」「1.0」などの“評点”として総合評価 が出ます。
- 1.0以上:安心できる強さ
- 0.7〜1.0:部分補強で改善可能なことが多い
- 0.7未満:倒壊リスクが高く補強必須
●結果説明と改善案
ここで「どこを補強すると効果が大きいか」をきちんと説明します。
■ 耐震診断にかかる時間の目安
- 現地調査:1〜3時間
- 図面作成・計算:3〜7日
- 報告書説明:30〜60分
■ 耐震診断を受けるべき家の特徴(プロの視点)
実務で「この家はまずいな」と感じるのはこんなケースです。
- 1981年以前に建てられた
- 増築してL字型になっている
- 1階の壁が極端に少ない
- 屋根が瓦で重い
- 室内に大きな“吹き抜け”がある
- 基礎に多数のクラック
- 白蟻・雨漏りなど劣化がある
うちの家、思い当たるところばかりなんですけど…。
とご相談いただくこともよくあります。
少しでも不安要素があるなら、診断だけでも受けておくと安心です。
■ よくある誤解(現場で感じたリアル)
● 誤解①:壁を増やせば耐震性は上がる
→ “場所”と“バランス”が最重要。
むしろ偏ると悪化します。
● 誤解②:診断=補強を迫られる
→ 評点が0.7〜1.0なら 「部分補強」だけで十分な場合が多い
全部直さないとダメだと思ってました…。
全体補強は不要ですよ。弱点だけ直せば十分です。
■ 耐震診断を受けるメリット
- 無駄な補強工事を避けられる
- 倒壊リスクの“見える化”
- 補助金を最大限活用できる
- 2025年以降は耐震化政策が強化され、診断の重要度はさらに上昇
■ 診断を依頼する会社の選び方
- 行政登録の耐震診断士が在籍
- 構造を理解している設計士が現地調査する
- 診断と工事が“分離”しているほうが公平
- 過去の事例を見せてくれる会社が信頼できる

ここまで読んで
でも正直、どこに相談すればいいの?
と感じた方も多いはず。
耐震診断は会社のレベル差が大きく、
“安いだけ”で選ぶと補強費が高額になるケースが珍しくありません。
匿名の設計士最小限の補強で最大効果を出したい場合は、
まずは専門家にオンラインで相談してみるのが安全です。
家づくりの不安を解決!住宅購入相談サービスで安心サポート【家づくり相談所】
■ 参考過去記事(内部リンク)
耐震診断を終えたら、次は
「どこを補強するべきか」 を知るステップに進みます。
補強方法・費用・工法の違いなどを体系的にまとめています。
こちらも合わせて読んでいただくと、判断がよりラクになります。
■ 結論|耐震診断は“補強前の必須プロセス”
地震に強い家づくりは、
「診断 → 弱点の把握 → 必要な部分だけ補強」
という順番がもっとも合理的です。
築30〜50年の木造なら、2025年の今こそ受けておく価値があります。
“なんとなく不安”を抱えたままより、一度きちんと数値で確認してみませんか?


