■ 「耐震補強って結局いくらかかるの?」に答えます
耐震補強って、どれくらいの費用を見ておけばいいんですか?
“どこを補強するか” と “どう補強するか” の組み合わせで大きく変わりますよ。
耐震補強は 家ごとに弱点が違うため一律では語れない のですが、
2025年現在、工法別の費用相場はだいぶ整理されてきました。
まずは相場を知ることで、
“必要以上の補強工事を勧められてしまうリスク” を避けられます。

■ 工法別|耐震補強の費用相場【2025年版】
以下は、設計士として実務で最もよく採用している工法です。
●耐震壁の追加(最も一般的)
- 費用相場:15〜30万円/1カ所
既存の壁を強い“耐震壁”に作り替える工法。
壁量・バランスの不足を改善するのにもっとも効果的で、
補助金対象になりやすいのも特徴です。
1カ所でそんなに変わるんですか?
家のバランス次第では、1カ所で評点0.1〜0.2改善することもあります。

●基礎補強(ひび割れがある場合は必須)
- 費用相場:40〜120万円
・ひび割れ補修(10〜30万円)
・鉄筋コンクリートの増し打ち補強(60〜120万円)
基礎に劣化がある場合、
耐震壁だけ増やすと逆に荷重が集中して危険になるため、
セットで行うことが多い工事です。
●金物補強(費用を抑えたい人向け)
- 費用相場:5〜15万円/1カ所
柱と梁の接合部を金物で補強。
“いまある構造を強くする” 工法なので工期が短いのが利点です。
ただし金物だけで耐震性が劇的に上がるわけではないため、
他工法と組み合わせるのが前提です。
●屋根の軽量化(瓦→軽量屋根へ)
- 費用相場:120〜200万円
倒壊の大きな原因は “重い屋根”の揺れ増幅。
瓦屋根の家で、耐震診断評点が0.7を切るケースでは、
「屋根軽量化」だけで評点が一気に改善することがあります。
(参考外部リンク)
→ 「家族を思う、強い家(国土交通省)」
●部分耐震補強(効果の割にコスパ◎)
- 費用相場:30〜80万円
“家全体を補強” ではなく、
“倒壊リスクが高い部分のみ” をピンポイントで補強する方法。
匿名設計士としても、
一番おすすめなのはこの部分補強 です。
耐震診断の結果に基づき
「ここ1カ所を直すだけで、全体の倒壊リスクが大幅に下がる」
というケースは多い。

■ 耐震補強にかかる総額の目安
実務データでは、次の帯にほぼ収まります。
- 軽微な補強:30〜100万円
- 標準的な補強:120〜250万円
- 構造的に弱い家:250〜400万円
- 大幅な間取り変更とセット:400万円〜
耐震補強は
“どの工法を選ぶか”より“どこを補強するか”の設計判断が重要。
同じ家でも、
設計次第で費用が 100万円以上変わることも普通 です。
■ よくある失敗例
●業者の「ここも補強した方が…」に流される
→ 必要以上に壁を増やされ、費用が高騰。
●構造を考えずにリフォームだけ先にやる
→ キッチン・浴室リフォーム後に「耐震補強ができません」と言われる。
●基礎の劣化を放置して壁だけ補強
→ 荷重が集中して、逆に倒壊リスクが上がる。
補強すれば安心、ってわけじゃないんですね。
適切な“優先順位”が大事なんです。
(参考外部リンク)
→ 「木造住宅の耐震補強設計(日本建築防災協会)」
耐震補強は“費用の話”がもっともトラブルになりやすい部分です。
匿名の設計士最小限の補強で十分なのか?
最大限の補強をすべき家なのか?
——これは診断と専門家の判断なしでは分かりません。
「いくらかかるか知りたいだけ」
という方でも、まずは 無料相談 で“初期見積もり”を取り寄せておくと安心です。
■ 参考過去記事
耐震補強の検討を進めるなら、
まず「家の弱点」を正しく把握しておくことが重要です。
→ 耐震改修・住宅構造ガイド|後悔しない家づくりのポイント
(内部リンク)
URL:https://sumai-knowledge.com/taishin-renovation/taishin-house-check/
■ まとめ
耐震補強の費用は
工法 × 補強する場所 × 優先順位の設計 で大きく変わります。
費用を抑えつつ安全性を上げたい場合は、
“弱点をピンポイントで” 補強するのが最も合理的です。
迷ったら、
まずは耐震診断+見積もりをセットで確認してみてください。


