ここ数年、注文住宅では「耐震等級3」がほぼ当たり前になってきました。
どの工法でも“等級3にできる”のは安心ですよね。
ただ、実は 木造の等級3には「2つの取得方法」 があることはあまり知られていません。
ある相談のとき、こんな会話がありました。
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どの会社も“耐震等級3です”って言うんですけど、結局どこが違うんですか?
同じ等級3でも、根拠の取り方がぜんぜん違うんです。
ここが一番誤解されやすいところなんですよ。
匿名の設計士
その “違い” がこちら。
- ① 壁量計算でとる耐震等級3(仕様規定)
- ② 構造計算でとる耐震等級3(許容応力度計算)
同じ“等級3”でも、内部の安全性の根拠はまったく別物です。

壁量計算の耐震等級3とは?(最も一般的な方式)
壁量計算は、かんたんに言うと
「基準以上の壁量があればOK」
という“必要最低限のチェック”。
柱・梁・床の剛性や、接合金物が受ける力の検証までは行いません。
日本の木造住宅の多くは、この方法で耐震等級3を取得しています。
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え、壁の量だけで決まっちゃうパターンがあるんですか?
そうなんです。
最低限は確保できますが、建物全体の力の流れまでは見ないんですよ。
匿名の設計士
構造計算の耐震等級3とは?(精密に安全を確認する方法)

構造計算(許容応力度計算)は、
地震力を建物全体にかけて“耐えられるか”を数値で証明する方法。
柱・梁・接合部・床剛性など、家の骨組みを全部チェックします。
例えば、地震で梁がどれくらいたわむか、柱がどれだけ圧縮されるかまで計算します。
匿名の設計士![]()
あ、それって“ちゃんと広い吹き抜け”とかを無理なく成立させられる根拠にもなるってことですよね?
まさにその通り。
手間がかかるぶん、構造計算費用は別途必要になります。
SE構法の場合は?(等級3が“前提”)

SE構法は、
「耐震等級3に“する”のではなく、“前提でつくる”」
という工法です。
構造計算はセットで、計算費用は面積当たりです。
延べ床面積に応じて費用が決まります。
大開口・大空間・吹き抜けなど、間取りの自由度を保ちつつ耐震性を確保できるよう設計をスタートします。
SE構法だと、“壁量計算でとりあえず等級3にした家”と設計思想が根本的に違います。
匿名の設計士![]()
なるほど、そもそもの設計段階から構造がついてくるって感じなんですね。
そう。
だからこそ、耐震等級3の“実態”を比べると、精度と安心感がまったく違います。
同じ「等級3」でも中身はぜんぜん違う
最後に整理すると、
- 壁量計算の等級3
→ 最低限の基準を量で満たした状態 - 構造計算の等級3
→ 地震力の解析を行い、安全性を数値で証明した状態 - SE構法
→ 構造計算で等級3を“前提”にする工法
耐震等級3を選ぶときは、「どうやって取った等級3なのか?」は必ず確認したいポイントです。
なお、耐震リフォームや補強工事は、家ごとに内容がまったく違います。
専門家に見てもらうだけで、“不要な工事が省けて結果的にコストが下がる”ことも多いです。
→ まずはプロに相談して、本当に必要な補強だけを選ぶのが一番効率的です。
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参考内部リンク
▶ 耐震改修・住宅構造ガイド|後悔しない家づくりのポイント
( https://sumai-knowledge.com/taishin-renovation/taishin-house-check/ )


