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不同沈下は耐震性に影響する?床の傾きの原因・チェック方法・補修費用を設計士が解説

不同沈下による床の傾きの例を示すイラスト

家の床が少し傾いている気がする…これって地震に弱いの?

こんな相談を受けることが増えました。

床の傾きって、耐震性に影響するんですか?

結論から言うと“影響します”。
ただし、原因と程度によって危険度が大きく変わります。

匿名の設計士
匿名の設計士

この記事では、設計士として、

  • 床の傾きの原因
  • 自分でできるチェック方法
  • 耐震性への影響
  • 補修費用の目安
    をプロの視点で分かりやすく解説します。

合わせて、過去記事
耐震改修・住宅構造ガイド|後悔しない家づくりのポイント【2025年版】
https://sumai-knowledge.com/taishin-renovation/taishin-house-check/
とも関連しながら読んでいただくと理解が深まります。


不同沈下とは?(まず概念を理解する)

不同沈下とは、
建物が“部分的に”不均一に沈む現象
を指します。

家は重さが均等ではありません。
さらに地盤も場所によって強さが違うため、
部分的に沈むことがあるのです。

建物の一部が沈む不同沈下のイメージ図

不同沈下が“耐震性に影響する理由”

不同沈下により建物が傾くと、構造に以下のような負荷が生じます。

▼影響①:地震時に“ねじれ”が起きやすくなる

建物が水平でないと、揺れが一点に集中しやすくなります。

▼影響②:壁・柱への負担が増加

傾きは建物の重心をズラし、
本来は均等に受けるはずの力が偏るため。

▼影響③:建具・サッシの変形も進行

これにより、揺れのたびに建物の“歪み癖”が悪化します。


少しの傾きなら大丈夫ですか?

傾きが小さくても“地盤沈下が継続中”の場合が危険です。
止まっているかどうかが重要です。

匿名の設計士
匿名の設計士

床が傾く原因は?(根本を知ることで対策が変わる)

床の傾きには、大きく3種類の原因があります。


■原因①:地盤の不同沈下(最も多い原因)

  • 粘土層が厚い
  • 埋め立て地
  • 湿気の多い地盤
  • 造成の締固め不足

■原因②:基礎の劣化・強度不足

  • 布基礎のひび割れ
  • コンクリートの強度不足
  • 鉄筋量不足
  • 築40年以上で多いケース

■原因③:構造体の劣化(シロアリ・腐朽など)

  • 土台の腐食
  • 柱の欠損
  • シロアリ被害
  • 水まわり周辺に多い

自分でできる“床の傾きチェック方法”

「うちも違和感がある…」という人は、次の方法を試してください。


■ビー玉・ゴルフボール転がし

一番手軽な方法です。

  • ゆっくり転がる → わずかな傾き
  • 勢いよく転がる → 傾き大

■スマホアプリの水平器機能

iPhone・Androidどちらにも標準搭載。


■棚や冷蔵庫の“隙間”を見る

壁との隙間が上下で違う場合は注意。


■床鳴り・建具の動き

  • ドアが勝手に動く
  • 建具が閉まりにくい
  • 床の沈み込みが大きい

これらは傾きのサインです。

どの程度で専門家を呼べばいいです?

“3mm/m以上の傾き”が出たらプロに相談をおすすめします。

匿名の設計士
匿名の設計士

不同沈下の補修方法と費用目安

不同沈下の補修は、原因によって工法と費用が変わります。


■薬液注入工法

地盤中に薬液を注入し、沈下部分を固める方法。

  • 費用:30〜100万円前後

■アンダーピニング工法(最も確実)

沈下部分の下に“新しい基礎”を設置して持ち上げる工法。

  • 費用:100〜350万円前後

■基礎補修(ひび割れ補修・増し打ちなど)

  • 費用:10〜120万円

■構造材の交換(シロアリ・腐朽)

  • 費用:20〜150万円
アンダーピニング工法による沈下補修の模式図

参考外部リンク(公的)

不同沈下・地盤トラブルの基礎知識は以下が分かりやすいです。

国土交通省|地盤に関する基礎知識
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000681.html

地盤の種類と特徴を知るのに適しています。


“補修の相見積り”が必要な理由

不同沈下は、
同じ症状でも、施工会社によって提案方法と費用が大きく違う
という特徴があります。

私が現場で見てきた例でも、

  • A社:150万円
  • B社:330万円
  • C社:90万円(内容も十分)
    という“差がありすぎる”ケースは珍しくありません。
匿名の設計士
匿名の設計士

不同沈下は“1社の診断だけ”で決めるのは危険。
理由は、工法選定の幅が会社ごとに違うからです。

複数社を比較できる一括見積もりサービスを使えば、

  • 過剰な工事を防げる
  • 最適な補修工法が分かる
  • 価格の適正値が理解できる

というメリットがあります。

全国優良リフォーム会社への一括見積もりなら【リショップナビ】


まとめ:傾きを感じたら“早めのチェック”が建物を守る

  • 不同沈下は耐震性に影響する
  • 傾きの原因は“地盤・基礎・構造”の3パターン
  • 状況が悪化する前の診断が重要
  • 補修費用は原因と工法で大きく変わる
  • 相見積りは必須

床の傾きは「気のせい?」と思いがちですが、
建物の寿命や安全性に大きく関わります。
早めの判断があなたの家を守ります。

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