アレルギーがあるから、化学物質の新建材を避けて自然素材で建てたい。
そう願うご家族の気持ちは痛いほどわかります。
しかし、19年目の設計士として、あえて「夢を壊すような真実」をお伝えしなければなりません。
実は、「自然素材=100%安全」という考え方は、現代の建築物理においては間違いです。
建物完成後のVOC(揮発性有機化合物)測定の現場では、新建材よりもむしろ、こだわり抜いた「自然素材」から意外な有害物質が検出されることもあるのです。
この記事では、イメージに惑わされない「真の健康住宅」の作り方を解説します。
第1章|VOC測定員が語る「新建材のリアル」
私は建物が完成した際、必ず室内の空気質を調べるVOC測定(揮発性有機化合物検査)を行います。
そこで検査員から聞いた言葉は、意外なものでした。
- 「今どきの家で、基準値を超えることはまずない」:
現代の工業製品は、かつてのシックハウス症候群を教訓に、極めて厳格な低ホルムアルデヒド基準(F☆☆☆☆)で作られています。 - 「新建材=毒」は過去の話:
適切に管理された工場で作られる断熱材や合板は、今や非常にクリーンな素材です。
第2章|自然素材の落とし穴:二日酔いの原因物質が発生?
驚くべきことに、身体に良いはずの「無垢の木」や「自然塗料」から、思わぬ物質が放散されることがあります。
1. 摩擦熱とアセトアルデヒド
無垢フローリングに自然塗装(オイル仕上げ等)を施した場合、日常の歩行による「摩擦熱」や「水分」と反応し、アセトアルデヒドが発生するケースが報告されています。
2. 二日酔いの正体と同じ
アセトアルデヒドは、お酒を飲んだときに体内でアルコールが分解されてできる「二日酔いの頭痛や吐き気の原因物質」そのものです。
- リスクの正体:
WHO(世界保健機関)からも発がん性が指摘されている物質です。
「自然だから安心」と換気を疎かにすると、お酒を飲んでいないのに「家の中にいるだけで頭が重い」といった本末転倒な事態になりかねません。
第3章|アレルギー対策の本質は「素材」より「結露」
素材選びにどれだけこだわっても、設計を間違えればアレルギーは悪化します。
最大の敵は、目に見えない「壁内のカビ」です。

- カビ胞子の吸引:
気流止めができていない家では、壁の中で発生したカビやダニの死骸が、隙間風とともに室内に流れ込みます。 - 温度差の解消:
部屋ごとの温度差をなくし、免疫力を下げない環境作りこそが、アレルギー対策の最短ルートです。
第4章|「気密・換気」こそが最高の健康処方箋
自然素材から出る微量なガスも、新建材から出るわずかな匂いも、すべてを解決する唯一の方法は「正しい空気の入れ替え」です。
- 気密を極める: 空気の入り口と出口を制御し、壁内への湿気侵入を防ぐ。
- 換気を回し切る:換気計画が必須
- 湿気をコントロールする: 防湿処理
昨今の日本の夏(40℃・湿度80%)を乗り切るには、素材のイメージよりも、これら「建築物理」の裏付けが不可欠です。
第5章|迷ったら「中立なプロ」に相談を
自然素材を使いたいけれど、アセトアルデヒドの話を聞いて不安になった。
どの断熱材がわが家にベストかわからない。
そんな時は、特定の素材や工法を売る立場ではない、第三者の意見を聞いてみてください。
私がお勧めしているのは、家づくり相談所です。
ここでは、VOC測定の数値や建築基準に基づいた、「イメージに頼らない家づくり」を住宅建築コーディネーターが無料でサポートしてくれます。
- 自分のアレルギー体質に合った素材は何か?
- 施工レベルの低い会社(結露リスクが高い会社)を排除できる。

まとめ|イメージを捨てて、科学で家を建てる
アレルギー対策において大切なのは、耳当たりの良い「自然素材」という言葉に惑わされず、科学的な「数値」と「物理(結露対策)」を見ることです。
- 新建材の安全基準を正しく評価する
- 自然素材の化学的反応(摩擦熱のリスクなど)を知る
- 何より「結露」させない設計を徹底する
この3拍子を揃えて、初めて「本当の健康住宅」が完成します。






