床断熱の話をすると、たいていのお客様から
床って断熱材を入れればそれで完了なんですよね?
と聞かれます。
……ええ、たしかに“おおむね”それで正解なんですが、実際の現場はもう少し複雑だったりするんです。
え、そんなに難しいんですか?
と驚かれることもあります。
でも、設計士として言ってしまえば、“床”ほど環境の影響を受ける部位はほかにないかもしれません。

■ 床断熱の基本 ― “外気に触れる床”を守る
床断熱とは、読んで字のごとく“床で外気と室内を隔てる”考え方。
日本では昔から一般的な方式で、断熱材を根太や大引の間に入れて施工します。
私たち設計士からすると、床断熱は
「手堅い。だけど、周辺環境のクセを読む必要がある」
そんな断熱方法です。
■ 通気パッキンは「床下の呼吸口」
床断熱の家では、通気パッキンで床下を外気とつなぐのが基本。
昔の換気口とは違い、基礎強度を保ちつつ均一に通気を確保できる便利な部材です。
じゃあ通気があれば安心ですね!
とお客様から言われるのですが、実は……
■ 実は“通気がリスクになる”環境がある
気温・湿度の条件がそろうと、
床下が結露することがあります。
特に
- 海に近い土地
- 谷筋で夜に冷え込む土地
- 田んぼに囲まれた湿度の高い地域
- 朝晩の寒暖差が大きい土地
こうした場所では、通気パッキンから入った湿った空気が、床下の冷たい部材に触れた瞬間に水滴化することがあります。

■ 「じゃあ通気しない方がいいの?」という誤解
通気をやめると今度は
シロアリ・腐朽のリスクが跳ね上がります。
つまり、床断熱は
- 通気で乾燥を保ちつつ
- 土地の湿気や温度差を読み
- 必要に応じて別対策を組み合わせる
という“バランス”が大切。
地域によっては
- 防湿土間コンクリート
- 基礎断熱への変更
- 床下換気の制御
など、ケースに応じた対策が必要になります。
■ 設計士のつぶやき
私はよくお客様にこう言います。
家って、生き物みたいなんですよ。
土地が違うと、性格もまったく変わります。
じゃあ素人は判断できませんね…。
そう不安を抱えた方は、プロに相談してリスクを整理するとスッキリします。
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■ もっと深く知りたい方向け
断熱材全体の考え方については、こちらの記事でも丁寧にまとめています。
内部リンク(過去記事):
➡
断熱材の選び方完全ガイド|断熱リフォームで失敗しないための基礎知識
■ 結露メカニズムを詳しく知りたい人へ
- 国交省|住宅の省エネ・断熱ガイド
https://www.mlit.go.jp/policy/shoene-house-guide - 北海道立総合研究機構|断熱と湿気の技術資料
https://www.hro.or.jp/
■ まとめ
床断熱は優れた方法ですが、土地の湿度・風・寒暖差を読み間違えると床下結露のリスクがある。
逆に言えば、そこを抑えれば、床断熱はとても合理的でメリットの多い断熱方法です。
迷ったときは、住む土地と暮らし方をセットで考えてくれるプロに相談するのがいちばんの近道です。


