― 匿名設計士が、現場の“本音”をやわらかく解説します ―
住宅の断熱性能は「暮らしやすさ」だけでなく、
健康・耐久性・光熱費・結露リスク・家の資産価値 に直結します。
しかし、断熱材は種類が多く、専門家でも意見が分かれる分野。
まして一般の施主の方が “正解” を判断するのは難しいのが本音です。
この記事では、断熱材を選ぶときに押さえるべきポイントを
できるだけやさしく、かつ実務者の視点も交えて まとめました。
断熱改修・新築にかかわらず、
“これさえ読めば迷わない” という内容を目指しています。

断熱材選びで最初に理解すべきこと
断熱材を選ぶ際、多くの方が
「どの素材が一番いいの?」と質問されます。
しかし現場の設計士としての結論は、
素材より “施工精度と湿気計画” のほうが圧倒的に重要。
どれほど高性能な断熱材でも、
- 隙間がある
- 防湿層が切れている
- 付加断熱の納まりが悪い
- 湿気の逃げ道がない
これらがあるだけで 性能の3〜5割が失われ、
結露・カビの原因にもなってしまいます。

※詳しい施工ミス例:
→「グラスウール施工ミスで起きる失敗例|匿名設計士が語る注意点」
断熱性能を決める“3つの指標”を理解する
熱伝導率 λ(W/m・K)
数値が小さいほど断熱性が高い。
グラスウール0.038、木繊維0.046〜、セルロース0.040〜など。
断熱材の厚み
性能が高いほど“薄くできる” が、
リフォームでは厚みを確保できるかが重要ポイント。
施工精度(最重要)
断熱材の実力を100%発揮できるかはここで決まる。
職人の腕・現場管理の質によって大きく差が出る。
- 建築研究所|住宅の省エネルギー基準
https://www.kenken.go.jp/becc/
※湿気と結露の基礎:
→「断熱材の湿気・結露対策|木造住宅を長持ちさせる核心」
主要断熱材の特徴と“どんな家に向くか”
■ グラスウール(GW)
・コスパ最強
・正しく施工できれば十分高性能
・防湿シートの施工精度が生命線
→ 向いている:コスト重視/壁厚が確保できる家
断熱リフォームは、家ごとに最適解が違います。
「どれが自分の家に合うのか」は専門家しか判断できません。
一度プロに聞いて“やらなくていい工事”が分かるだけで、
20〜40万円以上のムダが消えることも普通です。
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■ 吹付ウレタンフォーム(現場発泡)
・隙間に入りやすく気密を取りやすい
・厚みが必要/経年劣化の議論あり
→ 向いている:気密を優先したい家
■ セルロースファイバー
・調湿性が高い
・重量があるため施工管理が重要
→ 向いている:湿気・結露が気になる家
■ 木繊維断熱材
・夏の熱ごもりに強い
・吸放湿性能が高い
・外張り断熱として相性が良い
→ 向いている:夏暑い地域/外張り断熱

■ 真空ガラス・樹脂窓・二重窓(窓の断熱)
・壁より窓の方が熱が逃げる
・費用対効果が高い
→ 向いている:既存住宅の断熱改修
断熱等級6・7に対応するには何が必要?
断熱等級6・7 は
「素材」だけでなく「納まり」「気密」「日射取得」を含む総合評価 です。
特に愛知県(6地域)は、
- 夏は日射遮蔽
- 冬は日射取得
どちらも考慮した設計が必須。
断熱材の性能だけで等級は取れません。
窓・玄関・床・気密・換気計画までセット で考えましょう。

建築研究所|住宅の省エネルギー基準
https://www.kenken.go.jp/becc/
結露・湿気リスクと断熱材の関係
断熱を強化すればするほど
結露リスクはむしろ高くなります。
理由:
・室内側がより暖かくなる
・外壁側がより冷たくなる
・その境界で水蒸気が結露しやすくなる
だからこそ
“断熱強化=換気計画の強化” がセットで必要。

- 経産省 資源エネルギー庁(住宅省エネ)
https://www.enecho.meti.go.jp/
リフォームで断熱材を選ぶときの注意点
リフォームでは“既存構造” の制約があるため、新築とは考え方が異なります。
■ 部分断熱リフォームは結露を誘発することがある
壁の一部だけ断熱すると、
結露ラインがズレてカビるケースが多いです。
■ 換気と湿気経路の見直しが必須
気密が上がる→湿気がこもる→結露 が典型的。

■ コストの優先順位
「窓 → 天井 → 床 → 壁」の順が基本。
費用対効果が一番高いのは窓。
コストと性能の“ちょうどいいバランス”
性能だけ追いすぎても、施工難度や費用が上がりすぎてしまいます。
私としては
“等級5〜6程度+窓を強化+湿気対策”
が最も費用対効果が良いと感じています。

- 住宅金融支援機構(断熱リフォーム関連補助金)
https://www.jhf.go.jp/
まとめ:目的別の断熱材の選び方

家の断熱は、構造・地域・築年数で「正解」が大きく変わります。
とくに はじめて断熱リフォームを検討する方ほど、無料で専門家に相談したほうがコストの失敗がありません。
私は設計士として、
“最初の判断ミスだけで数十万円〜百万単位の差”
がついたケースを何度も見てきました。
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うちの場合、どこをどの程度直すべき?
高い断熱材を使ったほうが本当に得?
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等級6や7にしたいけど、金額はどれくらい?
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