冬に窓が濡れないから、わが家の断熱は大丈夫!
……もしそう思っているなら、非常に危険です。
19年目の設計士として断言します。
昨今の日本の夏において、「夏型結露(逆転結露)」はもはやレアケースではなく、毎日どこかの壁の中で発生している「日常」です。
最高気温40℃、湿度80%。
もはや熱帯と化した日本の夏では、冬の対策だけでは家を守れません。
さらに、1981年〜2000年に建てられた「81-00問題」に該当する住宅は、このリスクが最大化しています。
この記事では、従来の防湿シートと「可変防湿シート」の決定的な違いと、命を守るための湿気管理について解説します。
第1章|気温40℃・湿度80%の夏。「壁の中」で起きていること
昔の「防湿」は冬のことだけを考えていれば済みました。
しかし、今の夏は違います。
1. 露点温度の罠
外気温40℃・湿度80%の時、露点温度(結露が始まる温度)は約35℃です。
エアコンで室内を25℃に冷やしている時、壁の中の湿気は冷やされた室内側に引き寄せられ、壁の裏側で霧状の結露、あるいは水滴となって溢れ出します。
2. 「逆転結露」は毎日起きている
これは冬型結露と同じくらい深刻です。
特に気密性の低い古い家では、湿気が無制限に壁内に侵入し、構造材を24時間体制で湿らせ続けています。
第2章|「81-00問題」という時限爆弾
今、リフォーム市場で最も注意すべきなのが、1981年(新耐震基準)から2000年(改正建築基準法)の間に建てられた「81-00(ハチイチマルマル)問題」の住宅です。
- 中途半端な断熱:
断熱材は入っているが、気密・防湿の概念がほぼゼロ。 - 壁内結露の温床:
20年〜40年かけて蓄積されたダメージに加え、昨今の酷暑が追い打ちをかけています。 - 設計士の視点:
この年代の家を断熱改修するなら、単に断熱材を増やすのではなく、「湿気の出口」をセットで設計しない限り、家を腐らせるだけです。
第3章|防湿シート vs 可変防湿シート
ここで重要になるのが、シートの選択です。
- 従来の防湿シート(ポリエチレンフィルム)
- 冬: 室内からの湿気をブロック。
- 夏: 【欠点】 壁内に溜まった湿気の逃げ道を完全に塞いでしまい、夏型結露を助長するリスクがある。
- 可変防湿シート(インテロ、ザバーン等)
- 冬: 湿気をしっかり止めて壁内を守る。
- 夏: 周囲の湿度に合わせて「分子の隙間」を開き、壁内の湿気を室内に逃がす(乾燥を促す)。
- 結論: 40℃超えの夏がある今の日本において、設計士が選ぶべきは可変一択です。

第4章|「防湿」という考え方は、つい最近の話
驚くべきことに、建築現場で「防湿」が正しく語られ始めたのは本当に最近のことです。
- 15年前の常識:
「断熱材が湿気を吸うから大丈夫」という根拠なき説明が横行。 - 職人の技術格差:
今でも「シートなんて貼ったら家が息をできない」と主張する大工さんが現役にいます。
第5章|見積書の「防湿処理」をチェックせよ
断熱リフォームの見積もりを取る際は、必ずこう聞いてください。
夏型結露の対策として、可変防湿シートは検討されていますか?
この問いに対し、「そんなの必要ないですよ」と即答する業者は、昨今の異常気象と建物の寿命を考えていない可能性があります。

※「81-00問題の住宅なので、可変防湿シートを使った慎重な断熱改修ができる会社を」と伝えてください。





