耐震等級3(最高ランク)
だから、
地震が来ても絶対に安心!
……もしあなたがそう信じ切っているなら、
少しだけお時間をください。
建築業界で19年。
愛知県内の現場で、数多くの「理想の間取り」
を形にしてきました。
しかし、設計のプロとして本音を
言わせてもらうと、
「等級という数字はクリアしていても、
構造的に無理をしている家」は、
実は世の中に溢れています。
その無理を判断する最大の指標が、
今回お話しする「直下率(ちょっかりつ)」
です。
正直に言います。
キャリアが浅かった頃の私は、
お施主様の「広いリビングが欲しい」
「ここに大きな窓が欲しい」という要望を
叶えるために、この直下率を二の次に
してしまったことがありました。
しかし、構造のバランスが悪い家は、
大地震の際に数値通りの力を発揮できません。
あなたが一生を過ごす大切な家を
「見かけ倒しの等級」にしないために、
直下率の正体について、
日本一分かりやすく解説します。
1. 直下率とは?「ジェンガ」で考えれば一瞬で分かる

直下率とは、簡単に言えば
「2階の柱や壁の下に、ちゃんと1階の柱や壁があるか」
という割合のことです。
これをイメージするには、
「ジェンガ」や「積み木」を
想像してみてください。
- 直下率が高い状態:
下のブロックの真上に、
上のブロックが重なっている。
安定感があり、上からの重さが
スムーズに地面に伝わります。 - 直下率が低い状態:
下のブロックがない場所に、
上のブロックが乗っている。
重さを支えるために「横の梁(はり)」
に大きな負担がかかり、強い揺れで
「グニャリ」と歪みやすくなります。
どんなに強い素材を使っていても、
支えがない場所に重いものが乗っていれば、
建物は「ねじれ」に弱くなってしまうのです。
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より深い構造の知識はこちら
直下率だけでなく、地盤や基礎、
接合金物など、家全体の強さを
決める要素をプロが解説しています。
2. 【衝撃】耐震等級3でも「直下率が低い」家はある
ここで、多くの人が陥る
最大の誤解を解いておきます。
耐震等級3なら、
直下率もいいんじゃないの?
という疑問です。
実は、耐震等級の計算(壁量計算など)
には、直下率の明確な規定がありません。
極端な話、建物全体の壁の量が足りていれば、
配置がバラバラで直下率がボロボロであっても
「等級3」は取得できてしまうのです。
- 耐震等級: 家全体の「筋肉量」
- 直下率: 骨組みの「バランス」
どれだけ筋肉(耐震壁)があっても、
骨格(直下率)が歪んでいれば、
いざという時に本来のパワーを発揮できません。
「数値上の安心」と「構造的な素直さ」。
この両方を追求することこそが、
本当の耐震性能なのです。
3. 目指すべきは「60%」!あなたの家を判定する基準表
では、具体的にどれくらいの数値を
目指せばいいのでしょうか?
設計士としての実務的な合格ラインをまとめました。
直下率の目安と判定
| 直下率(柱・壁) | 判定 | 設計士の本音アドバイス |
| 60% 以上 | 理想的(合格) | 構造に無理がなく、非常に健全な間取りです。 |
| 50% 〜 60% | 一般的(許容) | 普通の範囲内ですが、1階の梁に負担がかかっていないか要確認。 |
| 50% 未満 | 要注意(危険信号) | 間取り優先で構造を犠牲にしている可能性が高いです。 |
特に「柱の直下率 60%以上」を
確保できていると、建物のゆがみが
抑えられ、築数十年経っても資産価値
を維持しやすい「長持ちする家」になります。
4. プロに聞く前に!自分でできる「セルフ図面チェック法」
私の家の図面、
大丈夫かな!?
と不安になった方へ。
専門的な計算ができなくても、
今すぐできる確認方法があります。
- 1階と2階の間取り図を並べる
(または透かして重ねる) - 2階の柱の位置に
「赤ペン」で印をつける - その赤印の下(1階)に、
柱や壁があるか確認する
もし、広いリビングの真ん中に「2階の壁」
がドスンと乗っているような箇所があれば、
そこが構造的な弱点になっている可能性が
あります。
設計士への「角が立たない」聞き方
不安を見つけたら、担当者に
こう聞いてみてください。
構造のバランスについても
安心したいので、直下率が
何%くらいになっているか
教えていただけますか?
これだけで、担当者は
「あ、この施主さんはしっかり
勉強されているな」と
身が引き締まるはずです。
5. まとめ:断熱も耐震も「誰と建てるか」で決まる
断熱材の厚み(性能)が「冬の快適さ」を
守るなら、直下率(構造)は「家族の命」を
守る最後の砦です。
- 直下率は「重さの伝わり方」のスムーズさ
- 耐震等級3という言葉だけで安心しない
- 柱・壁ともに60%以上を目標にする
- 図面を重ねて、自分の目でバランスを確かめる
19年前の、お施主様の要望を叶える
ことだけに必死だった頃の私なら、
ここまで厳しいことは言わなかった
かもしれません。
しかし、大地震が頻発する今の日本において、
カタログ上の数字(等級)だけで家づくりを
するリスクを、私は誰よりも知っています。
正しい知識を持った次は、
その知識を誠実に形にしてくれる、
信頼できるパートナーを選ぶこと
断熱材の記事でもお伝えしましたが、
最終的にあなたを守るのは「数字」ではなく
「丁寧な仕事をするプロ」です。
私が19年の経験から
「ここなら安心して構造を任せられる」と
判断した相談窓口やサービスを、
こちらのページにまとめています。




