住宅の耐震性を考えるとき、多くの方は「壁量計算」を重視します。
しかし、壁の量だけで建物の安全性を判断するのは危険です。
壁が十分でも、建物の“ねじれ”を示す偏心率が大きいと、
地震で揺れ方が偏り、倒壊リスクが高まります。
壁量計算だけでは見えないリスク

特に注意したいのは以下のような間取りです。
- LDKの大開口で壁が片側に偏る
- 2階の部屋配置が不均衡
- 吹き抜けや玄関ホールで耐力壁が少ない
- 下屋やガレージで1階の壁が極端に不足
こうした間取りは壁量計算上は問題なくても、
偏心率が高くなり、建物がねじれる力を受けやすくなります。
壁量は足りているって聞いたんですけど…。
見た目の壁量は十分でも、
偏心率を考慮しないと揺れ方に偏りが出ます。
開口や吹き抜けの位置も影響します。
偏心率が高いとどうなる?

偏心率が大きいと、特定の柱や梁に過剰な負荷がかかります。
特に最近の大開口リビングや吹き抜け住宅では、偏心による“ねじれ破壊”のリスクが高まる傾向にあります。
許容応力度計算(構造計算)の重要性

偏心率は壁量計算では判断できません。
建物の安全性を正確に確認するには許容応力度計算が必要です。
構造計算で分かること:
- 偏心率と建物の揺れ方
- 水平構面(床)の強度
- 柱・梁の断面耐力
- 接合部の強度
- 上下階の荷重バランス
これにより、壁量だけでは分からない倒壊リスクを定量的に把握できます。
吹き抜けや大開口も、壁の配置や水平構面を調整すれば、
安心して取り入れられますよ。
デザインも安全も両立できるんですね。
間取り段階で確認すべきポイント

- 耐力壁は上下階で揃える
- 吹き抜けや大開口はできるだけ中央寄りに配置
- リビング階段は耐力壁とセットで
- 下屋は極端に大きくせずバランス良く
これらの工夫で偏心率を抑えつつ、間取りの自由度も維持できます。
第三者チェックのすすめ
偏心率は図面だけでは分かりません。
設計士や工務店でも、構造計算なしで感覚に頼る場合があります。
だからこそ、第三者によるチェックやオンライン相談を活用することが安全です。
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まとめ
耐震性は壁の量だけで決まるわけではなく、建物のバランスが重要です。
偏心率を無視して家づくりを進めると、見た目は安全でも倒壊リスクが残ります。
まずは間取りと構造の整合性を第三者にチェックしてもらうことから始めるのが安心です。
▶ 過去記事リンク(内部リンク):
耐震改修・住宅構造ガイド|後悔しない家づくりのポイント【2025年版】


