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筋交いだけ増やしても耐震性は上がらない?理由と“本当に効果のある”補強方法

「筋交いを増やせば耐震性が上がる?」──そう思いますよね。

耐震補強って、筋交いを増やせばいいんですよね?

……実は、筋交い“だけ”増やす補強は、逆効果になることもあるんです。

匿名の設計士
匿名の設計士

えっ、強くしたのにダメなんですか?

この記事では、
“筋交いだけでは家は強くならない理由” と “本当に効果のある補強方法” を、専門内容を崩さずに、でもやさしく解説します。


筋交いだけ強くしても耐震性が上がらない理由

地震の力は「弱いところ」に逃げる

地震のエネルギーは、強くしたところよりも 弱いところに流れ込んでしまう 性質があります。

つまり、
強い壁を1面だけ作る → ほかの弱い壁に負担が集中 → 家全体のバランスが悪化

強い壁は必要ですが、「点」で強くしても意味がありません。

※より詳しい耐震補強の基礎は、国土交通省が公開している下記資料が参考になります。
木造住宅の耐震診断と補強方法(公式PDF)
※建築のプロが実務で使うレベルの資料ですが、図解が多く一般の方でも読みやすいです。

既存木造住宅の壁内部を示す写真。筋交いの配置がわかる

壁だけを強くすると「水平構面」が壊れる(最も誤解されるポイント)

ここは専門家でも説明を省いてしまいがちですが、非常に重要です。

筋交いを増やして壁ばかり強くすると……
→ 力が床・屋根などの“水平面”に集中してしまう。

するとどうなるか。

  • 床合板の釘が抜ける
  • 屋根の垂木が負ける
  • 梁と床の接合部が壊れる

つまり、
壁を強くしすぎると、家が“引きちぎられる”方向に力が働く
ということです。

まずは床と屋根の“面の強さ”が十分か確認するのが大前提なんです。

匿名の設計士
匿名の設計士

そんなところを見たことすらなかった……。

水平構面の構造図。地震力が床面に流れ、弱点に集中する様子の模式図

金物補強が弱いと意味がない

筋交いを増やすだけでは、
柱と梁・土台をつなぐ 金物 が弱いままだと、地震時に「結合部」から壊れます。

家でいえば、筋交いは“筋肉”、金物は“関節”。
筋肉だけ鍛えても、関節がゆるければ立てません。

柱と梁の接合部に取り付けられた耐震金物の施工写真

全体バランスが悪いと倒壊リスクが上がる

・どこか一面だけ強い
・どこかが弱い
・偏心率が悪い
・建物形状が複雑

このいずれかがあるだけで、耐震性能は期待値を大きく下回ります。

バランス設計こそが耐震の本質です。


正しい耐震補強=“家全体の力の流れ”を整えること

壁量の確保(ただし配置バランスが命)

壁量が足りない家は、地震に耐えられません。

ただし、
“どこに置くか” が最重要。

強い壁が偏ると、逆に家がねじれます。

各補強パターンは、内閣府の耐震補強方法の例が分かりやすいです。


水平構面をまず強くする(最も見落とされる工程)

耐震補強では、本来は

  • 1階床の剛性
  • 2階床の剛性
  • 屋根の剛性
  • 梁との緊結部
壁・床・屋根が連携して地震力を受ける「家全体のバランス補強」概念図

金物補強(基礎・土台・柱・梁のつなぎ目)

金物補強は、耐震補強の「土台」。

  • 柱頭柱脚金物
  • 筋交い金物
  • 羽子板金物
  • ホールダウン金物

必要な場所に必要な強度の金物を入れることで、壁量の効果が初めて発揮されます。


結論:筋交いだけ増やしても、家は強くならない

部分的な補強は危険。
本当に必要なのは、
“家全体を一つの箱として成立させる” 設計と補強 です。

匿名の設計士
匿名の設計士

「筋交いを増やす=安心」
これは、家づくりで最も危険な誤解です。


参考内部リンク

耐震補強の全体像をもっと整理したい方は
「耐震改修・住宅構造ガイド|後悔しない家づくりのポイント」
https://sumai-knowledge.com/taishin-renovation/taishin-house-check/
こちらも合わせて読むと、より理解が深まります。

耐震補強は「どこを直すべきか」「どれは不要なのか」で、
最終的な工事費が50〜150万円ほど変わることも珍しくありません。

最初に“やらなくていい工事”を切り分けるのが、節約の最大ポイントなんです。

匿名の設計士
匿名の設計士

え、耐震ってそんなにムダが出やすいんですか…?

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