
耐震補強をするついでに、ついでに間取りも変えられる?
この相談は毎週のように来ます。
実際、現場でよくあるのがこんな会話です。
壁をなくして広くしたいんです。
でも耐震補強もしたくて…同時にできますか?
できます。
ただし“費用が大きく変わるケース”があるので
そこだけ注意してください。
この記事では、設計士として
- 同時にできるケース
- 費用が跳ね上がるパターン
- “やってはいけない”間取り変更
- 現場でよく勘違いされるポイント
を本音で解説します。
過去記事:
▶ 耐震改修・住宅構造ガイド|後悔しない家づくりのポイント【2025年版】
https://sumai-knowledge.com/taishin-renovation/taishin-house-check/
と合わせて読むと理解がさらに深まります。
結論:耐震補強と間取り変更は“同時にできる”
同時施工はむしろ効率が良いことも多く、
- 解体コスト
- 工期
- 仮住まい費用
を削減できます。
特に、
「壁を撤去しつつ耐力壁を別の場所で作る」
などのケースはセットで行うのが合理的です。

同時に行うメリット
■解体が1回で済む
間取り変更も耐震補強も、まずは解体が必要。
別々で行うと 解体費が2倍 になります。
■壁を撤去する際の“弱点化”を防げる
間取り変更単独で壁を撤去すると、
建物が一時的に弱くなります。
耐震補強と同時施工なら、
撤去と補強をセットで行い安全性を保てる。
■補強計画と間取りを両立できる
設計段階で、
「ここを広くするなら補強壁はこっちに」
と整合性を取りやすい。
リビングを広げたいけど補強も必要なんです…。
そのパターンこそ“同時施工”のメリットが最大です。
ただし…費用が大きく変わる“危険なケース”がある
同時施工は良いことばかりではありません。
以下のケースは
費用が一気に跳ね上がる“要注意パターン” です。
■ケース①:撤去したい壁が“耐力壁”だった
耐力壁を撤去すると、
別の場所に補強壁を追加する必要があります。
- 補強壁追加の費用
- 構造計算の手間
- バランス調整の追加工事
が発生して費用が膨らみがち。

■ケース②:大開口(吹き抜け建設・梁補強)が絡む
- 2階の荷重
- 屋根の荷重
を受ける梁を交換・補強する必要があり、
構造工事の規模が一気に大きくなります。
費用が倍になるケースも珍しくありません。
■ケース③:既存基礎の強度が足りない
間取り変更=壁の位置が変わる
耐震補強=荷重の伝わり方が変わる
この2つが重なることで、
既存基礎が“受けられない”状態になることがある。
その場合、
基礎増し打ち・補強コンクリートが必要 → 高額に。
■ケース④:給排水・電気・ダクトの大規模移動
間取り変更に伴って設備の移動範囲が増えると、
耐震補強とは関係ない部分で費用が跳ね上がります。
同時にやった方が得じゃなかったんですか…?
ほとんどは“得”ですが、この4つだけは注意が必要なんです。
必要最低限で済むケース(費用を抑えたい人向け)
以下の条件に当てはまる家は、
比較的コストを抑えて同時施工できます。
- 間仕切り壁が“非耐力壁”
- 表層的なレイアウト変更(キッチンの向き変更など)
- 既存基礎が比較的しっかりしている
- シロアリや腐朽が少ない
- 耐震診断の評点が極端に低くない

間取り変更+耐震補強の費用相場(2025年版)
間取り変更の規模に応じて、
耐震補強とセットにしたときの目安は以下の通り。
■小規模(壁撤去1〜2か所)
80〜180万円
■中規模(LDK拡張・部屋の統合)
150〜350万円
■大規模(スケルトン+全面補強)
400〜1000万円以上
参考外部リンク(公的)
▶ 国土交通省|住宅の耐震化について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr_000043.html
耐力壁と間取りに関する基準の参考になります。
同時施工を検討するなら“相見積り”が絶対必要
耐震補強と間取り変更を同時に行う場合、
会社ごとに、
- 提案内容
- 補強の方法
- 間取りの可否
- 設計力
- 費用
が驚くほど違います。
間取り変更が絡むリノベは
1社の見積りだけで決めると90%の人が損をします。
複数社を比較できる一括見積りサービスを使うと、
- どの会社が“構造に強い”のか
- デザインとの両立が可能か
- 費用の適正値
が明確になります。
全国優良リフォーム会社への一括見積もりなら【リショップナビ】
まとめ:同時施工はメリット大。ただし“費用が跳ねるケース”を把握するのが必須
- 耐震補強と間取り変更は同時にできる
- 解体・工期の短縮でコストを抑えられる
- ただし「耐力壁撤去」「大開口」「基礎強度不足」などは費用が跳ねる
- 早い段階の相談が最も損をしない方法
あなたの家の構造と希望の間取りに合わせて、
最適な方法でリノベーションを進めてください。


